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「転職エージェント」という言葉の由来

「転職エージェント」という言葉は、いつ頃から使われるようになったのでしょうか。

キーワードの検索トレンドを調査できる「Google Insights for Search」で調べてみると、以下のようなグラフになっています。

2004年頃まではほとんど使われていなかったのですが、2006年~2007年にかけて多く使用されるようになり、2008年にピークを迎え、その後は安定的に推移しています。

これは、人材紹介業分野で日本最大のシェアを誇るリクルートグループの人材紹介会社の動向が大きく影響しています。

2006年当時、日本最大のシェアを誇っていた人材紹介会社は、株式会社リクルートエイブリックという会社でした。

このリクルートエイブリックが、2006年の1月に社名を変更し、「株式会社リクルートエージェント」となりました。

今では「リクルートエージェント」といえば転職を考える方であれば誰もが知っている名前かもしれませんが、 かつては「リクルートエイブリック」という社名で人材紹介業を展開していたのです。

「スポーツ選手と同様に、ビジネスパーソンにも一人ひとりのエージェント(代理人)を」というコンセプトで、リクルートが先頭に立って「転職エージェント」という言葉を市場に認知させてきたのです。

当時はまだ職業紹介スタイルでの転職は一般的ではなく、どちらかというと求人雑誌や求人サイトなど、媒体を通じた転職活動が主流でした。

そのため、当時のリクルートエイブリックは、人材紹介のビジネスは、まだ他社と比較して自社がどう抜きんでるかという、マーケットシェアを意識した戦いよりも、今は「転職エージェント」という言葉を幅広く世の中に認知させることで、マーケットの規模自体を大きくすることが重要だと考えていたのではないかと思います。

「人材紹介」という言葉では一般消費者向けには訴求ができませんから、「エージェント」というイメージがつきやすい言葉を用いて、会社名もそれに併せて変更することで、言葉によるマーケット創造を行ったのです。

  1. フェーズ1:サービスモデルを市場に認知させ、市場規模を拡大する。
  2. フェーズ2:広がりを見せる市場に対して、積極的に投資を重ね、シェアNo.1を獲得する。
  3. フェーズ3:安定市場においてNo.1企業としての価格決定権を持ち、利益を創出する。

これはあくまで推測ですが、当時のリクルートグループとしてのエージェントビジネスに対する拡大戦略は上記のようなイメージで描かれていたのではないかと思います。そして、2006年~2007年にかけてが、まさにフェース1の時期だったのでしょう。

今では「転職エージェント」という言葉は広く使われていますが、この言葉が普及した背景には、リクルートグループとしての上記のようなブランド戦略・経営戦略があったと言えるかもしれません。