あなたの転職が、どうか成功しますように 

転職とは?

「転職」という言葉の意味については説明するまでもありませんので、 ここでは「転職」が持つ意味について、考えてみたいと思います。 転職支援会社日本最大手のリクルートエージェントのカリスマ転職アドバイザー海老原氏が監修し、 ドラマ化もされた大ヒット漫画「エンゼルバンク」に出てくる名セリフの一つに、 以下のようなセリフがあります。

「転職は人生のチューニング」

これは、言い得て妙というか、まさに「転職」というものを 上手く言い表した、とても分かりやすい比喩なのではないかと思います。 転職を考える人には、様々な理由があるでしょう。

  • 「給料を上げたい」
  • 「休日を増やしたい
  • 「残業がない会社で働きたい」

など労働条件に関わる理由もあれば、

  • 「スキルアップ・キャリアアップをしたい」
  • 「もっと規模の大きな仕事をしたい」
  • 「職種を変えて、自分に合う仕事をしたい」

など、仕事内容に関わる理由もあるでしょう。

また、転職の理由としてよく挙げられるものの一つに、 「職場での人間関係がうまくいかない」 といったものも挙げられます。

このように人は誰でも仕事に様々なものを求めるわけですが、 「転職」をすればこれら全ての悩みが解消されるかというと、 決してそんなことはありません。

「人生のチューニング」とは、分かりやすく言うと、 以下の図式のようなものです。

転職チューニングチャート図

※点数が高いほど、「満足度が高い」という意味を表す。

「転職は人生のチューニング」の意味

つまり、仮に自分自身が持っている持ち点に 総合点というものがあるとするならば、 その総合点自体が転職によって増えることはないのです。

上記図は、現在の給料に不満があるからという理由で転職した方の例です。 この場合、転職によって給料UPは実現しましたが、 その代わりに残業や休日出勤など、これまでにはなかった苦労も 増えることになりました。

休日出勤や残業はいくらあってもよいから、とにかくたくさん稼ぎたい! という方であれば上記の転職は成功だったと言えるでしょうが、 そうではなく休日もアフターファイブも大事にしたいという方であれば、 今度は新たな不満を抱えることになるでしょう。

これこそが「チューニング」の意味するところであり、 転職によって「16点」という持ち点の総合点自体が増えるわけではなく、 その持ち点の振り分け方を変えられるのが転職だということなのです。

自分の持ち点の総合点を増やすことは、簡単なことではありません。 仕事に打ち込み、自分自身を磨き、お客様を喜ばせ、上司に評価され、 更に大きい仕事を任され、その仕事で更に自分を成長させていく。 この繰り返しの中でしか増えていかないわけです。

転職をするだけ、ただ職場を変えるだけでいきなり能力が急激にアップする人などいません。 転職をすることで変わるのは「職場」であって「自分」ではないからです。

もちろん、転職をきっかけとして自分自身を変えていくことはできるでしょう。 しかし、ただ転職をしただけではその転職が成功だったか、失敗だったか、 そのようなことを判断することはできないのです。

転職をすれば、これまで不満に思っていた部分は解消されるかもしれませんが、 同時にこれまでにはなかった新しい不満を抱えるかもしれません。

「転職は人生のチューニング」です。

仕事をする上で、職場を選ぶ上で何を一番大事にするかは人により違います。 仕事より家族との時間を大事にしたいのであれば、残業がない会社へ転職するのもよいでしょう。 その代わり、給料は下がるかもしれません。

自分自身の成長を求めるのであれば、競争が少ない旧態依然とした成熟業界から、 競争が激しい成長業界のベンチャー企業に転職するのもよいでしょう。 その代わり、充実した福利厚生や満足な休日は得られないかもしれません。

転職とは、何が自分にとって大事なのかを決めること

あなたが働く上で、大事にしたいものは「何」でしょうか。 もしそれが、今の職場では今後も叶えることが難しいのであれば、 「転職」を選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

もちろん、それを大事にすると決めたからには、 他の部分では我慢しなければいけません。 あれもこれも今よりよくなるといったことはないのです。

上手にチューニングすることができればあなたのビジネスライフはより充実度の高いものになるでしょうし、 もし転職に過度な幻想を抱いているのであれば、恐らくまた同じように新しい職場に対しての不満をため、 転職を繰り返してしまいかねません。

転職は人生の大きな決断です。チューニングに成功するためには、 まず自分が、何を大事にしたいのか、 そしてそれは本当に今の職場環境が理由で叶えられないものなのか。 それをきちんと吟味・検討したうえで、転職を考えてみてはいかがでしょうか。